田村潔司vsヘンゾ・グレイシーの入場シーン


実験がてらに前に書いたものを転載の転載。

Tumblerに投稿したもの。

もう何度、見たことか。
2000年のリングスKOKトーナメント準々決勝の一戦である。
当時、最強の名をほしいままにしていたグレイシー一族と、リングスのエース田村が対峙することになった。田村が日本のプロレスラーの強さを証明するのか。それともグレイシーに飲み込まれてしまうのか。観客は期待と不安に胸を膨らませながら、入場ゲートから登場するであろう戦士に熱い視線を浴びせていた。
その刹那、誰もが想像だにしなかったイントロが館内に鳴り響く。田村は入場曲に「UWFのテーマ」を選択したのである。普段はまったく別の曲を使っているのに、だ。観客たちは瞬時に理解した。これは俺たちの青春をかけた決闘なのだと。

『UWFのテーマ』は新日本プロレス出身者を中心に結成された格闘技団体(あえてこう書く)UWF(第二次)のテーマソングである。試合開始前に流れるこのアップテンポで勇壮な曲に心を高鳴らせた後、観客たちはUの戦士たちの静かながらも闘志にあふれるバトルを食い入るように見つめていた。
格闘技ブームの原型を作ったのは、間違いなくUWFだ。試合の進行はキックと関節技が主体で、決着はKOかギブアップのみ。既存のプロレスのグレーな部分を排除して、戦いだけを純化させたそのスタイルは、「八百長」のレッテルを貼られて辛酸をなめさせられていたプロレスオタクたちの光となった。

実際はUにもグレーな部分が多々あったのだけれども。

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